今回は、アリババがオフライン下で提供している「箱馬生鮮」という新しい形態のスーパーマーケットのご紹介です。
「箱馬生鮮」は中国語で「盒马鲜生:he ma xian sheng」と呼ばれています。
「箱馬生鮮」の業種形態はスーパーマーケット・飲食店・食料品店とも言えますが、どれも明確な概念として表現している言葉ではありません。というのも、「箱馬生鮮」の最も大きな特徴は速達配送サービスなのです。店舗3キロ圏内であれば、30分以内にデリバリーを行います。
そのため、スーパーマーケット・飲食店・食料品店・そして、物流倉庫として総合的な役割を果たしていて、多用途スーパーマーケットとも呼べるでしょう。
「箱馬生鮮」の特徴
「箱馬生鮮」の特徴はサービス対象と物流システムそして、価格優位性が挙げられます。
他には、決済システムがアリペイのみに対応していること、オンラインでの注文は「箱馬生鮮」専用のアプリが必要なことなどありますが、今回は3つの各特徴に沿って、述べていきます。
サービス対象
「箱馬生鮮」は将来的に3つのターゲットにサービス対象を絞っている。
1つは大部分の時間を家で過ごしている家庭ユーザー。
2つはコンビニや軽食などに需要がある事務所やオフィスなどのユーザー。
3つは週末に子連れでスーパーに出かけるユーザー。
以上の3つのユーザーを取り込こみながら競争力を確保する手段として、
「箱馬生鮮」は以下で説明する特徴を持っている。
物流システム
伝統的な小売店と大きく違うところは、
「箱馬生鮮」はビッグデータ、スマート化、自動化などの技術や先進的な設備を導入し、
人・モノ・場所の最適化を実現している。
また、「箱馬生鮮」はサプライチェーンのプロセスの一つである倉庫から配達まで一貫して自分たちでシステムを構築している。
店内には天井にチェーン式のベルトコンベアが吊るされており、それを使って、店舗内の商品をピッキングしたものを運び、デリバリーするまでの工程を効率化している。
そのおかげで、3キロ圏内であれば、30分以内に配達することができる。
そして、天井のチェーン式のベルトコンベアもデジタル化システムの一部分であり、「箱馬生鮮」のサプライチェーン・販売・物流の予約システムは完全にデジタル化されている。
商品の納品から陳列、商品選択、梱包、配送業務など、スタッフがスマート端末を利用するだけで簡単に識別させ、ピッキングすることを可能にしている。そのため、高効率であり、ミスも少ない。
全体的なシステムでフロントオフィスとバックオフィスともに繋がっており、ユーザーがアプリで注文をし、10分以内にピッキングし、分類・梱包し、20分で3キロ以内の配送を可能にしている。(最高速度で)
(参考資料:阿里新零售试验:盒马鲜生开店13家已实现规模盈利)
(参考資料:阿里新零售试验:盒马鲜生开店13家已实现规模盈利)
価格優位性
「箱馬生鮮」は価格面でも優位性がある。
青菜・つまみ菜・レタス・ニラなどは一袋1.5元(約25円)で、空芯菜・菜の花・パセリ・アブラナ・春菊などは2.5元(約43円)である。この価格は伝統的な生鮮市場と比べると10%以上も安い。ちなみにこれら野菜の質量は480グラムを超えないほどの量である。
この価格を実現したのは、仕入れから販売・配達までの中間プロセスが無く、崇明区や奉賢区などの野菜産地から直接仕入れ、冷蔵運輸し細かな包装を通して、直接「箱馬生鮮」スーパーの冷蔵庫で販売する。
当日夜までに販売できなければ、すぐに処分する。
そして、以上のように仕入れから配達までのコストを削減したものを自分たちの取り分とするわけでは無く、ユーザーの利益となるように価格を低く設定している。このビジネスモデルをもって、「箱馬生鮮」は少ない利益でも持続可能なビジネスになるだろうと考えている。
このようなことは至極もっともなのだが、実際は以上の設備や人件費に多大なコストがかかっていることが想像に難しくない。以下では利益はどうなっているのかについて述べていく。
(チャイナテック撮影)
利益は出ているのか?
このモデルには相当なコストを投入している。公開されている報道によると、「箱馬生鮮」の一店舗のコストは数千万元(数億円)に及ぶとのことだ。
しかし、2017年7月「箱馬生鮮」の創業者兼CEOである候毅はインタビューされた時に、「箱馬生鮮は営業期間が半年を超えた店舗では基本的にすでに利益が出ている」と言っている。ちなみに候毅はもともと京東の物流責任者だった。
「箱馬生鮮」の第1店舗である上海の金橋店は現在、1日平均100万元前後(1700万円:1元17円と計算)の売上を上げており、すでに単独での利益を実現している。
華泰証券は2016年12月の研究レポートで、「箱馬生鮮」の上海金橋店は2016年通年売上高は2.5億元(約43億円)で、一坪あたり5.6万元(約95万円)の売上で、同業他者(1.5万元(約26万円))よりも高水準で上回っている。
創業者兼CEOである候毅によると、「箱馬生鮮」は一月あたりのユーザー購入数が4回から5回であり、一坪あたりの購入額も伝統的な店舗と比べて、3から5倍になっているとのことである。これ以外には、「箱馬生鮮」のユーザーのロイヤリティー(忠誠心)とオンラインでのコンバージョン率(成約率)は驚くような数値である。候毅によるとオンラインでの注文は50%を超えており、営業半年以上のある程度成熟した店舗であるならさらに上昇し、70%に達する。
その上、オンラインでのコンバージョン率(成約率)は35%であり、伝統的なECよりも高い。現在、営業半年以上の成熟店として上海金橋店のオンライン注文とオフライン注文の比率は7:3である。
次に、「箱馬生鮮」はどのような計画を将来にわたって持っているのかを述べていきます。
「箱馬生鮮」将来の計画
「箱馬生鮮」は現在900人余りの人員を抱えており、そのうち半分が技術開発人員である。
そして、2017年内に全国範囲で20店舗を開店し、杭州や深圳などの都市に拡大する計画である。
アリババは「箱馬生鮮」を作り、単なるオフラインでの店舗ではなく、
オンラインでの消費データを見つけ出す能力を通じて、
オフラインで「箱馬生鮮」は銀泰商業、百聯、三江ショッピングなどと協力し展開していくだろう。
また、このデータ扱う技術とその他の技術はパートナーへ解放し共有していくだろうとも言われています。
以上が今回のレポートとなります。
最後に簡単な商品を選んで購入までの流れを動画でご覧ください。
次に、スタッフが注文を受けて、ピックアップするところをご覧ください。