シェアリング自転車産業の就業レポート
2017年9月9日、第7回中国スマートシティ展示会「シェアリングエコノミー」のカンファレンスが寧波にて開催された。このカンファレンスで、中国国家情報センターのシェアリングエコノミー研究センターは『シェアリング自転車産業就業研究報告』を発表した。(中国語:《共享单车行业就业研究报告》。
この報告は現在の中国のシェアリング自転車産業の4つの発展現状を述べた上で、シェアリング自転車産業の就業状況を6つの結論で報告したものです。
以下が今回の報告の簡単な紹介です。*写真は中国語ですが、追って編集させていただきます。
研究方法
今回のレポートは、資料分析、ケース研究、インタビュー、企業調査研究という方法を使って、研究が行われ、報告されたものです。
特に、ケース研究に関してはオフォ(ofo)をケース対象としています。
さらに、インタビューについては、スマートロック(自転車の自動の鍵)の設計会社・生産企業を10社、シェアリング自転車の生産・組立企業を15社、物流企業を15社、メンテナンス運営派遣業社20社、各地のオフォ(ofo)の子会社20の都市にある70社以上の企業を対象に調査したものです。
シェアリング自転車産業の発展状況
状況1:シェアリングエコノミー領域において注目される存在である
このレポートによると、供給側と需要側に分けて需給状況が整理されている。
供給側に目を向けると、
・市場に1600万台もの自転車が投入されている。
・1日あたり5000万件もの取引がされている。
・1日に一人当たりの利用回数は約3回。
一方、需要側に目を向けると、
・ユーザーは1.06億人いる。
・これは中国ネット人口の14.11%に相応する。
また、2017年上半期シェアリング自転車産業の22件の融資を受け、
融資金額は、104.33億元にものぼる。
この数字は、シェアリングエコノミー領域においてもっとも融資件数が多い分野である。
さらに、中国のシェアリング自転車は国際的にも完全に先導的な立場に位置している。オフォ(ofo)を例に、現在、9つの国に進出し、170を超える都市で展開している。ちなみに、「新たな4大発明の一つ」とも言われている。
状況2:シェアリング自転車産業が及ぼす影響は明らかである
レポートによると、シェアリング自転車を運営することで及ぼす影響は、
物流配送業、資源回収業、自転車製造業、スマート機器製造業、メンテナンス業の5つの業種に与えると考えられている。
状況3:シェアリング自転車投入数量は落ち着いてきている
レポートによると、トップ企業による投入量は減少し始めており、
特に、大都市への投入量が落ち着いてきている。
中小規模の企業は市場開拓として1級や2級都市ではなく3級や4級都市に重点をおいて展開している。
また、2017年投入総量は2000万台近いと予想される。
傾向として、市場を細分化した経営がされ始めてきている。
状況4:シェアリング自転車で移動効率と省エネ効果の上昇
レポートによると、2017年上半期、
ユーザー累計走行距離は全体で50億キロメーターに及ぶ。
これはおよそ地球の赤道を23.5万回、周回する計算だ。
シェアリング自転車を使用した時の移動効率の上昇も見て取れる。
北京市の乗用車の平均走行距離を13.2キロメータとする事例で考えると、
・シェアリング自転車+地上の公共交通機関と歩き+地上の公共交通機関を比べると18.6%も効率が上昇する。
・シェアリング自転車+地下鉄と個人の車を比べると17.9%も効率が上昇する。
・シェアリング自転車+地下鉄と歩き+地下鉄を比べると15.8%も効率が上昇する。
*翻訳者である私は、シェアリングとシェアリング無しの場合の比較には、今までの自分の自転車を使って行くことと行かないことの比較に他ならないと考える。
だから、非常に難しい話だが、この比較はシェアリングを利用する場合と自分の自転車を利用する場合の比較をするべきだと考える。(現実的に非常に難しいが、とにかく、ここで載せられている比較に大した意味はないんじゃないかと考える。)
ちなみに、排気ガスは80万トン減少したとのことである。
シェアリング自転車産業の就業に関しての結論
以上の発展に関する概況認識から、レポートによると、以下の6つの結論が提出されました。
結論1:就職者が100人増えると、シェアリング自転車の人員が一人が増える。
レポートによると、現在、中国全土のシェアリング自転車が引き起こした就業はおよそ10万人。
そのうち、2017年上半期に引き起こした就業はおよそ7万人であり、1〜6月における新たに増えた全国就業者の0.98%。
以下に詳しい数字をのせておきます。
・プラットフォームのスタッフ、8000人(全体の8%)
・スマートロック製造企業のスタッフおよそ1万人(10%)
・自転車製造業のスタッフおよそ4.25万人(42%)
・物流配送企業のスタッフ5000人(5%)
・メンテナンスサービスのスタッフ3.5万人(35%)
結論2:製造者とメンテナンススタッフの月給は4000〜5000元
この図はシェアリング自転車産業の各業種によっての給料を表したグラフです。
この中で電子エンジニアだけが、12000元の月給をもらい、それ以外は同じような水準になっています。
結論3:スタッフの若年化、インテリ化
シェアリング自転車のスタッフは、
・76.84%が20〜29歳
・21.62%が30〜39歳
・1.64%が40歳以上
となっている。
次に、学歴で見てみると、
・高卒が6.12%
・短大卒が37.52%
・大卒が50.2%
・修士以上が6.16%
となっている。
結論4:スマートロック製造会社の就職ポスト50%を動かしている
上海、深圳、杭州、中山などのスマートロックのサンプル企業の調査によって、
シェアリング自転車のスマートロックを生産するための第一線のスタッフが、製造ラインのうち、52.04%を占める。スタッフの年齢は20〜45歳。
結論5:関連自転車企業の80%の就職ポストを動かしている
このレポートによると、20ほどの企業とシェアリング企業が協力することによって、自転車製造メーカーはシェアリング自転車を生産するためのポストが80%以上も占めている。
短大以下の学歴の労働力はすべての労働力の87%前後。
40歳以下の成人労働力は全体の生産者の83%以上。
結論6:3万ものメンテナンス事業のポストを増やした
シェアリング自転車の下、メンテナンススタッフはおよそ3.5万人。
・車両の配置と駐輪整備のスタッフが80%を占める
・修正メンテナンスのスタッフは20%を占める。
40歳以下の成人労働力は70%を占める。
まとめ
以上、シェアリング自転車産業の発展により、かなりポジティブな影響が見られる。
このような就業機会の増加は、イノベーションを起こした者が場所を提供するものであり、就業困難なグループへの機会を創造することにつながる。
注意:以上は、レポート内容を基に筆者が独自に解釈を加えながら翻訳したものである。
参考資料:共享单车行业就业研究报告