今回の記事は、中国のシェアリングや低速四輪電動車に対する経済学者である馬光遠(以下、馬氏)の一つの意見のご紹介です。
目次
シェアサイクルと四輪低速電動車
中国のテレビ番組であるCCTV Business Reviewにおいてシェアサイクルが論じられた、馬氏と他のゲストはエコなシェアサイクルというシステムには賛成という姿勢を示している。また、各地で続々と出てくる一連の規制に対してもポジティブな評価を与えている。
現在、中国社会は多くの面において開放を進めている。
例えば、シェアサイクル、配車サービスなどだ。
こうした新しいサービスや製品は、早くに中国の地に発展し、定着し、政策の恩恵を受けている。しかし、すべての製品やサービスがこのように幸運なわけではない。例えば、日本で言うところのゴルフカーなどのような四輪低速電動車産業はまだ未解決の問題があり、非常に難しい状況にある。(下の写真が四輪低速電動車)
(バイドゥ参照:四轮低速电动车)
四輪低速電動車の現状
近年、四輪低速電動車は様々な大衆の移動需要問題の上で、さらにいい選択肢を提供したと言える。価格は低く、コストも高くない、さらに短距離の移動という需要も満たす。特定の大衆に対してはすでに移動する際の選択肢の中で第一候補になっている。とりわけ、三線・四線都市といった地方都市や農村地区では四輪低速電動車に対して旺盛な移動需要がある。山東省の自動車産業協会が発表したデータによると、2016年すべての四輪低速電動車市場の販売数量は約120万台から150万台であり、山東市場は2014年から2016年までの年成長率は50%以上であるとのことだ。
(参考資料:共享单车很火,但这个行业未来比共享单车更火)
需要の継続的な成長は、同時に企業の産業への投資も刺激している。統計データによると、中国の四輪低速電動車市場は2013年に始まり、現在、この産業は大規模に拡大する段階に入り、年100万台を製造する産業となった。中国社会では300万台もの車両が保有されており、生産高は300億元で、1000億元もの経済効果を生み出している。そして、川上から川下の人員は約100万人の産業規模になっており、人員規模も毎年50%以上の成長を見せている。2013年下半期から始まり、LEVDEO、LICHI、SHIFENG、YOGOMO、DAYANGなどの大型四輪低速電動車企業は各生産工程に対して資金投入を強化した。2016年、四輪低速電動車産業で、10月までの期間、トップ5企業の合計生産台数は34.66万台になり、総生産量の73.8%で、歴史上最も高い数値になった。
四輪低速電動車の標準化問題
四輪低速電動車産業はすでに大きくなっているし、100万人規模の就業を生み出している産業にも関わらず、この産業は大きな問題に直面している。それはつまり、公共政策レベルにおいて低速電動車に対する明確な方針が与えられていないことだ。方針のないことによって、将来的にこの産業が発展するに従ってさらに追い込まれていくだろう。
というのも、低速電動車は一体なんなのだろうか?普通乗用車か、それとも一つの独立したカテゴリーなのか。この技術標準化問題では長期にわたって論争が続いているが、結論は出ていない。もし四輪低速電動車が乗用車の管理に組み込まれるなら、技術の良し悪しについて話す必要がないが、コストの暴騰が起きたらそれはこの産業の死刑宣告と同じだろう。一方、もし低速電動車を独立したカテゴリーとするなら、現実的ではなく、結局のところ新たな標準化を設計しなければならない。その実施は非常に大きく複雑なプロセスになり、各方面において、0から始めなければならず、管理コストは増えるだろう。
したがって、社会資源の巨大な浪費を招くのだ。つまり、この産業の発展と未来が問題に直面するタイミングは、この産業が四輪低速電動車のカテゴリーに対して法律を認定した時である。
シェアリングに対する認識
多くの人が知っているように、DIDIなどの配車サービス、モバイク(mobike)、オフォ(ofo)などのシェアサイクルの出現に伴って、中国人の移動スタイルは革命的な変化を起こしている。そして、市場は人々の移動スタイルの変化に対応した上のサービスを求めており、その生命力は政府のものよりも強い。
一つの事例で言えば、以前ある都市はシェアリングの自転車をリリースしたが、市場が受け入れずに最後はやめてしまった。しかし、シェアサイクル市場は市場の自発的な発展の結果であり、結果的に爆発的な流行になった。それは市場の力が人々を敬服させるほどのものだった。
このように、技術の進歩によって、私たちの移動スタイルは空前の発展をしているのだが、この種の移動スタイルの変化による一連の裾野効果も見て取れるだろう。
というのも、シェアリング市場の発展は非常に大きく、産業チェーンの拡大、就業機会の増加、同時に、大衆の移動をも便利にした。また、環境的な面でいえば、環境に対するCO2排出などの負荷を減らしてくれるだろう。
他方で、自動車産業において、新車販売台数1位の市場である中国はイノベーション活力に満ちた地域であり、電気自動車、シェアリングエコノミー、スマート工場など新概念と新技術が多く出現し、形になってきている。
(参考資料:共享单车很火,但这个行业未来比共享单车更火)
四輪低速電動車の底評価
しかし、このシェアリングエコノミーの大きな潮流の中で、四輪低速電動車の歴史価値と意義は明らかに低く評価されている。実際のところ、電気自動車のリリースを契機に、四輪低速電動車の消費市場が始動した。四輪低速電動車は新たな100億元級、1000億元級の大産業になるかもしれない。経済、大衆の移動スタイルを多様化させ、利益はあるが無害であろう。
標準化問題の進展
標準化問題に関して、2015年四輪低速電動車発展の課題の中で、中国自動車工業協会副常務秘書長の董楊は「政府は四輪低速電動車産業発展の総合政策を作り出すべきであり、政策は国のエネルギー、資源、環境、交通状況を十分に考慮し、国民経済と社会形態への影響、そして、中国のマネジメント水準と能力を考慮するべきである」と述べたことがある。そして、少し前に、58の全国人民大会代表で支持を集めた四輪低速電動車の管理を標準化する議案を提出した。それはつまり、四輪低速電動車産業をモーターバイクの管理に組み込むという議案であった。また、全国人民大会代表のXuJianhuaは「この産業は中国にとって数は多くないものであるが、グローバルな細かい市場領域において製品性能は良好で、総合的な優位性が明らかな産業の一つである。」と言っている。
四輪低速電動車の競争力
その上、技術的なことで言えば、2000年を機に、ヨーロッパのL6/L7技術法規体系(こちらを参考にしてください:超小型自動車の安全性に係る調査 )に基づいた中国モーターバイク産業で、レジャーや娯楽を特徴とする四輪モーターバイクの輸出はピーク時に年に100万台だった。そうして、グローバル市場での中級や下級市場のシェアを奪っていった。そんな中、産業の全体的なアップグレードに伴って、年販売台数が100万台を超える産業として、巨大な産業機能と産出量が産業の進歩と技術レベルの上昇を支えられている。四輪低速電動車産業は中国にとって数量は多くないものであるが、グローバルな細かい市場領域において製品性能は高く、総合的な優位性が明らかな産業グループだ。つまり、四輪低速電動車は中国の製造領域で競争力を持っているのだ。
モーターバイクに組み込むことのメリット
以上のことから、完全な産業を構築するには市場需要の基本の上での発展とし、このまま四輪低速電動車産業を長期的に政策のグレーゾーンとするなら、政府は産業を補助することができないだろう。それは大衆の移動、もしくは、この産業に対してでも、致命的な不利益を生み出すだろう。馬氏から見るに、四輪低速電動車産業をモーターバイクに組み込み、管理するのは各方向でメリットがあるのは明らかということである。
自動車と四輪低速電動車のポジショニングの違い
まず、需要の角度から見ると、四輪低速電動車の主要な消費グループは年収が3万から8万元の低収入な家庭であり、四輪低速電動車は自転車、モーターバイクのユーザーと比べて、グレードが上の需要であるが、乗用車に比べてグレードが下ではない。
管理の導入コスト
次に、マネジメントの角度から見ると、中国は多くの三輪バイクが合法的に路上を走行している。四輪低速電動車がモーターバイクに属するなら、四輪低速電動車の走行権利、運転免許、ナンバープレート、保険などの管理問題はすぐに現在のマネジメントシステムの中に組み込める。中国のほとんどの都市はバイクを禁止したり、制限したりすれば四輪低速電動車による都市交通などの問題への影響は微弱なものだ。
産業創出に対する需要
最後に産業の角度から見ると、中国は現在の経済状況は新たな産業の急成長によって動いており、四輪低速電動車は地方経済と国民経済の実質的な産業であり、認可と奨励がされるべきである。
まとめ
馬(名前)は長期的に公共政策に関心を持ってきた。そして、ずっと公共政策の即時性と先見性は産業発展の影響にとってとても重要なものであるという姿勢を貫いている。「四輪低速電動車はすでに発展し大きくなっている。しっかりと位置付けなければ、合法的な身分を与えなければ、この産業はネット配車サービスやシェアサイクルと同じような成長はできないだろう。私たちは四輪低速電動車に政策という一筋の光がさすようにアピールしていく。」と主張している。