アリババが石基リテール株38%を買収予定
北京中長石基信息技術株式有限会社(以下石基信息)は、グループ傘下の販売情報システム関連の子会社をShiji Retail Information Technology Co.Ltd(以下石基リテール)に統合し、その後にアリババの戦略的投資を引き入れると発表した。
アリババ資本のAlibaba Investment Limited(以下アリババ投資)は既に石基信息と枠組み合意を形成しており、石基リテールの統合が完了した後、ストラテジック・インベスターとして石基リテールの38%株を買収する。
アリババ投資は、今回の投資額を5億米ドル以内と設定している。
つまり、アリババは今回の投資でリテール分野におけるインフラ強化に向け大きく加速したといえる。
石基信息は中国国内において、ホテル、飲食、小売の情報システムサービスの先駆者ともいえる存在だ。
他にもテーマパークや観光地のチケット情報システム市場でも大きなシェアを持つ。
その顧客数は、ホテル業界では1.2万件、飲食業界では15万件を有し、小売業では大中小、零細企業を含め、30万件の顧客を抱えている。
石基信息は全ての販売形態に適した情報システム製品を網羅しており、一定規模以上の小売業の情報システム市場においては最大のシェアを占めている。
アリババは石基リテールに出資後、双方の強みを活かし、百貨店、スーパー、コンビニ、チェーン店など多くの小売業のデジタル化を促進する狙いだ。
アリババと石基信息の協力は今回が初めての事ではない。2014年3月に石基信息はアリババと戦略的協議を結び、ホテルの情報システム分野で協力してきた。
ホテルシステムの一本化、会員サービスプラットフォームの導入、QRコードのスキャンによる会計方法の導入など。こうした協力の中、消費者にもなじみ深い「信用住」が生まれたのだ。
飛豚の「信用住」には現在10万戸を超えるホテルが登録し、数千万のユーザーが利用している。「信用住」は累計300万時間もの業務時間の節約に貢献している。
2016年5月飛豚は石基と共同で、未来酒店会社を設立した。一年の期間を経て、未来酒店会社が代理運営するホテルは2万戸に達し、顧客の宿泊日数を累計にすると10万日を超える。
業界の専門家は、双方の小売りインフラが疎通するにつれ、「人、モノ、場」の三要素が相乗効果を発揮し、全く新しい小売り形態と消費体験を生み出すだろう、と分析している。
アリババの石基リテールへの出資は、新しい可能性を予見させる。
それは石基がアリババの協力のもと開発する新しいクラウド情報システムだ。
ホテル、小売り、テーマパーク等で各システムが同一規格で連動するような巨大消費情報システムプラットフォームが消費業界全体に浸透する日が来るかもしれない。商業領域における「信用住」や、「未来酒店」のような消費者を驚かせるような新しい価値を、石基とアリババはこれからも提供し続けてくれるだろう。